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アジア・アフリカ・ラテンアメリカのイラストレーターを奨励し,自国での絵本出版を活性化するために始められた,「野間国際絵本原画コンクール」の審査会が,3月1日,2日の2日間にわたって日本出版会館にて開催された。1978年の初回以来隔年でおこなわれているが,12回目にあたる今回は世界54か国から308点の作品が寄せられ,広い会場のすみからすみまで並べられた作品群は圧巻であった。
審査員には,インドの作家で編集者のV.ダス氏,第10回野間コンクールグランプリ受賞者で,マレーシアで活躍中のアーティスト,M.Y.イスマイル氏,ニュージーランドの児童書専門編集者D.ロング氏が海外から参加されたほか,日本からはブックデザイナーの杉浦範茂氏,画家・作家の司修氏をはじめ,野間図書開発基金とACCUの代表各1名の計7名があたった。審査員は初日にすべての作品に目を通して99点を選出,2日目にさらに厳しい審査を行った結果,グランプリにはアンデルセンの親指姫を題材にとった,イランの女性画家の作品が選出された。
審査の基準となるのは,何枚かのイラストがセットになっているそれぞれの作品が,芸術的,技術的に優れ,オリジナリティーがあるのはもちろん,最終的に一冊の絵本になった時に,子どもたちがすすんでページを繰りたくなるようなものであるかという点である。グランプリに選ばれた作品は,技術的に群を抜くと同時に,子どもたちを幻想の世界に導く不思議な魅力を醸し出しており,計算された色使いやタッチとあいまって高い評価を得た。しかしその一方で,その幻想性が子どもにはわかりにくいのではないかという意見もあり,全く質の異なる,明解かつ個性的な絵のマレーシアの作品「ふしぎなスズメ」も同時に高い評価を受け,最後まで予断を許さない展開だった。また,同じく次席となった,色をテーマにした韓国の作品「色づくり名人」も,一部の個性的な表現が小さい子どもに恐怖を与えるのではないかという意見と,逆にその強烈さゆえに,繰り返し読みたい気を起こさせるかもしれないとの意見もあり,子どもにとっての絵本についてさまざまな角度から有意義な討論がおこなわれた。
その他の入賞作品には,伝承をもとにしたものから作家のオリジナルまで,また絵のタッチも具象からコミカルなものまで,絵もお話も地域的広がりに負けず多彩であった。野間コンクールの世界的認知度が高まるにつれて,世界レベルで通用する水準の高い作品が集まるようになってきていることが一層感じられた。
これらの入賞作品は,右記の通り池袋西武百貨店のアートフォーラムで公開され,さらに9月にはスロバキアのBIB(ブラチスラバ国際絵本原画展)で,その後は日本各地で展示される予定である。また,夏の展覧会に合わせて野間コンクールのインターネットサイトが公開されることになっており,この仮想美術館では入選作品と作家たちに出会えるほか,ひとつひとつのお話のあらすじも日本語で読めるようになっている。
こうした一連の活動がイラストレーターの励みとなり,ひいては各国での出版活動に寄与していくよう,コンクールのさらなる充実を図っていきたい。
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