恒例の識字企画会議が,初の試みとしてユネスコのAPPEAL(アジア・太平洋地域万人のための教育事業)と合同で,6月26日から30日まで東京で開催された。域内19か国の学校外教育担当の高官の参加を得て,識字教育を含む学校外教育(NFE:Non-formal Education)の重要性と今後のあり方について活発な討議が行われた。

アジアの声,東京宣言
「アジア・太平洋地域には,6億1200万人もの若者や成人が文字の読み書きができず,6000万人を超える子供たちが学校に行けない現状がある。教育を受ける権利は人が人らしく,よりよい生活を送るための権利として,守られなければならない」で始まる「学校外教育のための東京宣言」が,会議の最終日に満場一致で採択された。今回の会議での最大の成果と言えよう。
この宣言は,「学びの社会を築くために,学校教育と学校外教育とがお互いに補い合うことが理想」であることを再確認し,ユネスコが「ダカール行動の枠組み」に定めた「万人のための教育(EFA:Education for All)」達成のために,識字教育を含む学校外教育の重要性を各国政府や国際援助団体に再認識してもらうことを目指している。具体的には以下のような要請が盛り込まれている。
●21世紀の最初の10年を「国連識字の10年」と宣言すること
●識字と継続教育を各国の「万人のための教育国家行動計画」に盛り込むこと
●学校外教育と学校教育間の編入制度を確立すること
●地域に根ざした住民参加型の学習プログラムを促進すること
●地域社会のニーズと要望にあった情報・コミュニケーション技術(ICT)を活用すること
●学校外教育の成果評価システムの重要性を改めて強調すること
●政府及び2国間・多国間援助団体が学校外教育への予算を大幅に増加すること
この宣言は,地域や世界レベルでの教育会議などで,「アジアの声」として積極的に広報されつつある。同じ基礎教育の分野でありながら,学校教育と比べて,物心両面のサポートが少ない学校外教育が,政策と予算の両面で格上げされるようにという願いが込められている。(東京宣言の全文)

ユネスコとの初の合同会議
会議全体を振り返ってみると,大切な意味付けのできる会議であった。
まず,ACCUが初めてユネスコ(APPEAL)と合同で開催した会議であったこと。これまでもAPPEALとは事業を通じて密接な協力関係にあったが,今回の合同企画会議では,ACCU識字事業とAPPEAL事業が,アジア・太平洋地域のNFE振興のために分かちがたいものとして包括的に討議された。また,会議勧告の中にも,ACCUとユネスコがITの学校外教育への活用等の分野で合同で実施すべき事柄が盛り込まれたのは特記すべきことであった。
さらに,今回初めてパリ本部から,教育担当の副事務局長補であるA・バ・ディアロ氏の参加があったこともACCUとしては大変うれしいことであった。また,初参加国として,スリランカとウズベキスタンの代表を迎えたことも意義深い。

いちょう小学校訪問
会議の後半に実施された横浜市立いちょう小学校の訪問は,参加者にとって意義深い視察となっただけでなく,会議の疲れを癒してくれる心温まる時間となった。いちょう小学校の特徴は,かつてインドシナ難民定住促進センターが近接していた関係で,現在でも外国人児童がたいへん多く,様々な国際理解プログラムが実施され成功していることと,学校施設の一部をコミュニティーハウスとして地域に開放しており,地域と学校が協力し合っている好例であることなどだ。
一行は,国際色豊かな子供たちが見事に溶け合っている学校で,地域の人々も指導者として参加している授業を見学し,給食を一緒に食べ,子供たち総出演の踊りと歌の会に参加した。
学校を挙げての温かいおもてなしに深く感謝すると同時に,子供たちの屈託のない笑顔が語る,地域に開かれたこのすばらしい学校の一層のご発展を祈りたい。

今回の会議は多くの成果を残したが,19か国のNFEの代表が一堂に会し,EFA達成に向けて議論を尽くしたことが大きな成果であろう。ACCUは各国の声を真摯に反映したITの活用などの先見性のある地域識字事業をACCUらしいスタンスで,ユネスコおよび参加国と協力し,今後も強化・継続していきたい。
(識字協力課 横江 陽子)


いちょう小で授業参観する参加者たち