ACCU国際教育交流事業の最初のプログラムとして,第1回中国教職員招へいプログラムが2002年12月1日から2週間,中国の初等中等教育教職員等97名を招へいして実施された。

プログラム概要
 このプログラムは,日本の教育制度およびその現状を紹介し,日中両国の教育関係者の相互理解と友好の促進を目的として,文部科学省および中国教育部の協力のもとに,日中国交正常化30周年(2002年)を記念して開始したものである。12月1日に来日した教職員団一行は,まず東京で文部科学省の専門家による教育行政および教員養成制度についての講義を受けた後,学校段階別に4グループ(小学校・中学校教職員等各1グループ,高校教職員等2グループ)に分かれ,東京都内の学校と国立科学博物館を見学した。その後各グループは,それぞれ和歌山,高知,岡山,広島の各県を訪問し,再度大阪で全員が合流するまで,各県内の学校での授業参観や日本の教職員との意見交換,美術館や博物館などの教育・文化施設等の見学,一般家庭への訪問など,各地で教育や文化についての交流を行った。
各県での教育現場訪問
 和歌山県を訪問した小学校の教職員25名は,県内の小学校等の見学や,「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産への推薦が決まったばかりの熊野古道を散策した。見学先の小学校では,IT教育施設の充実ぶりに驚いたり,「日本の子どもと中国の子ども」というテーマで行われた県内の教職員との懇談会では,塾や下校以降の児童の生活,先生と児童の関係,しつけ,創造力を養う指導法などについて,活発な意見交換を行った。また,養護学校を訪問した際には,生徒がこの日のために作った記念品を手渡され,思わず涙を流す教員の姿も見られた。
 岡山県を訪問した高校教職員のグループは,中国との交流がさかんな小学校で,5・6年生の中国語の授業に飛び入り参加し,中国語での挨拶,自己紹介,数の数え方のゲーム等を子どもたちと楽しんだ。また,多くの参加者が,国際交流教室に多数展示されている中国からの絵や書,新聞などを興味深げに写真に撮ったり,学校・教員に対する評価方法の違いや宿題の量の少なさなどに驚いていた。そのほか,日本三名園のひとつ,岡山後楽園では,一般には未公開の能舞台の見学を許され,日本で最初にユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」として宣言された「能楽」についての説明を受けた。
 広島県を訪問したもう一方の高校グループでは,学校訪問や,ユネスコ世界遺産の原爆ドーム,厳島神社の見学をした。また,2?3人ずつで訪れた日本の家庭では,餃子を一緒に作ったり,訪問先の子どもになつかれ,時間を過ぎても帰ってこれなくなったりと,ほとんどのグループが予定時間を過ぎるまで家庭訪問を楽しんだ。
 中学グループが訪問した高知県では,歓迎のレセプションで,高知名物のよさこい踊りの鳴子と法被を渡され,県庁職員のグループとともに踊る場面も見られた。またこのグループが訪問したある中学校では,過去の歴史にとらわれず,日本の生徒に交じってのびのびと学校生活を送る中国人生徒の姿に,参加者の多くが,若い世代による,これからの両国のさらなる相互理解の可能性を確信したようだった。
成果発表と今後の予定
 各県でのこのような教育と文化交流活動の後,4グループは大阪歴史博物館で,日中国交正常化30周年記念「シルクロード 絹と黄金の道」特別展を見学し,古代から続く日中の交流について学んだ。また,最後の訪問地となる京都では,金閣寺,清水寺などのユネスコ世界遺産を見学した後,報告会において各グループの代表の成果発表で2週間のプログラムを締めくくった。
 ACCUでは,このプログラムの成功に引き続き,2001年から実施している韓国教員招へいプログラムの招へい人数を倍増し,第3回目となる2003年1月には,韓国から100名の教職員を招へいする予定である。

(『ユネスコ・アジア文化ニュース』336号より)