Asia Pacific Cultural Centre for UNESCO (ACCU)
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ACCU Prize
Awa Ningyo-Joruri Theatre

伝統芸能振興活動(プロジェクト)の名称

阿波農村舞台の保存・活用を通じた阿波人形浄瑠璃の振興

対象となっている伝統芸能の名称

阿波人形浄瑠璃

コミュニティ(市町村など)の所在

徳島県内の農村舞台を有する地域(徳島市、阿南市、三好市、那賀町、美波町、勝浦町、上勝町、神山町、東みよし町ほか)

阿波人形浄瑠璃について

17世紀、淡路の人形座の影響を受けて県内各地に人形座が成立し、特に県南部や県西部の非藍作地帯では、地域の農民たちが、神社の境内に建てた常設の農村舞台で春秋の祭に自ら演じて楽しんでいました。さらに、全国を巡業した箱廻し芸人たちが山奥まで入っていったことから、徳島では人形浄瑠璃の魅力が各地に浸透しました。明治20年頃に最盛期を迎えましたが、大正から昭和にかけて活動写真や演劇などの流行に伴い次第に衰退し、人形座も次々に解散しました。戦後、人形浄瑠璃復興のために多くの人々が奔走し、昭和21年に阿波人形浄瑠璃振興会が結成され、毎年夏に県下浄瑠璃大会が開催され、少しずつ人形座や太夫部屋も復活しました。現在では、全国で最も多い14の人形座と4つの大夫部屋が活動しているほか、小中学校や高等学校に6つの民芸部ができ、1999年には国の重要無形民俗文化財の指定を受けました。

過去に直面した問題について

地域の過疎化と高齢化が過去に直面した問題として挙げられます。昭和35年から平成7年までの35年間の人口減少率が30%以上というのが過疎地域の要件とされていますが、県内で最も多くの農村舞台を抱える那賀町では、この期間の人口減少率が実に46%、平成12年の高齢者比率が32.8%と過疎化、高齢化の顕著な地域です。

例えば、林業や和紙の生産等で栄えた那賀町拝宮地区は、現在は人口も減少し、高齢者比率は50%を越えています。祭や年中行事も簡素化され集まる人も少なくなり、今後の継続が危ぶまれているところでありました。かつては40数体の人形を有し部落外へも巡業していた拝宮人形座がありましたが、その人形芝居も昭和22年頃に行われたのが最後でした。間口6間、奥行き3間半の県内屈指の規模を誇る拝宮農村舞台は、祭の後の宴会や地域の寄り合いに細々と使われていました。また、人形芝居の背景として使ったふすま絵の一部や拝宮人形座の使っていた恵比寿の人形1体とともに、地域の古老たちの人形芝居に対する情熱も火を消そうとしていました。

「阿波農村舞台の会」は、阿波人形浄瑠璃が全国的にも特筆すべき特色を持つ人形浄瑠璃であることと、その主な上演場所であった農村舞台の置かれた現状を踏まえ、農村舞台の保存・活用を通じて阿波人形浄瑠璃の振興を図り、自分たちの住む地域に対する自信と誇りを回復するとともに、県全体の文化活動を促進することを目的に設立した組織です。

構成メンバーは、大学等の研究者、行政の文化政策担当者、建築士やデザイナー、コピーライター、人形浄瑠璃関係者、舞台芸術関係者、各地域の農村舞台保存会関係者、マスコミなどを中心とし、農村舞台を有する地域の保存会等との協働を図りながら、次の事業に取り組んでいます。

  • 調査・研究
  • 普及・啓発
  • 農村舞台活用の支援
  • 相談対応

問題を乗り越えるために実施したプロジェクト

平成15年の阿波農村舞台の会設立以来、活動を継続することにより、農村舞台の存在を周知し阿波人形浄瑠璃の魅力を普及する上で一定の成果を残せたのではないかと考えています。平成19年には、任意団体から特定非営利活動法人へと発展改組し活動の幅を広げています。

農村舞台の調査報告や公演開催に至る経緯、結果、考察等まとめた機関紙の発行や、雑誌や新聞、テレビ・ラジオ、映画会社等の取材への対応を通じた広報活動等により、地域住民の方に農村舞台や阿波人形浄瑠璃の魅力を浸透させるとともに、県外へ向けても積極的な情報発信に努めました。

また、農村舞台の活用支援としては、三好郡東みよし町の法市農村舞台、那賀町拝宮の拝宮農村舞台、北川舞台、阿南市見能林町の林崎農村舞台の復活公演を支援しました。法市農村舞台は、およそ平成15年に80年ぶりの人形浄瑠璃の公演を実現し、これを機に法市農村舞台保存会を結成し、毎年10月に公演を続けています。

拝宮農村舞台は、平成16年に約50年ぶりの復活公演を開催し、住民の機運が高まりました。平成16年には拝宮谷農村舞台保存会を結成し、その後毎年公演が続けられています。北川舞台は、平成19年徳島県で開催された国民文化祭の事業のひとつとして復活しました。海辺の舞台である林崎農村舞台でも、平成19に復活公演を開催し、地元阿南市唯一の人形座「中村園大夫座」や新野中学校民芸部の子供たちが出演しました。

それぞれ開催に当たっては、地元の役場や教育委員会、警察署、森林組合等の全面的な協力も得ることができ、地域の年中行事として定着しつつあります。また、県の文化振興施策とも連携を図り、阿波人形浄瑠璃振興策の策定や「農村舞台と阿波人形浄瑠璃」をテーマにした文化フォーラムの開催、農村舞台写真展などに積極的に協力を行ってきました。

ビデオ


入賞プロジェクトの伝統芸能:阿波人形浄瑠璃

 

活動の様子(写真)