人物交流事業

ユネスコ青年交流信託基金事業

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「気づき」から始まる文化遺産保護教育
〜未来へ伝える平城宮案内人〜

文:奈良市立一条高等学校 藤村 智子

朱雀門にて

2007年ユネスコ青年交流信託基金事業のもと、11月12日から22日まで、ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所により「文化遺産保護青年指導者研修・交流プログラム」が行われました。20日には、アジア太平洋地域から訪れる研修生たちに、人文科学科に属する地元高校生(奈良市立一条高等学校)が自ら奈良の世界遺産の紹介案内を行い、貴重な体験を得ることを目的として、交流プログラムが実施されました。

自らの地域文化を知る

歴史の町、奈良にある市立一条高校。土地柄、生徒たちは毎日平城宮跡を電車の窓から眺めたり、朱雀門の横を自転車で通ったりしていますが、そこが平城京の宮殿跡だと気づいていなかったりもします。そんな今時の高校生が取り組んだ「平城宮跡案内プログラム」。

海外の研修生に、自分たちもよくわからない平城京を紹介するということで、約2ヶ月間みっちり準備をしました。クラスで資料館を訪れ、日本の文化としての「平城京」を理解してもらうためにはどうすればいいのかを考え、夏休みにはそれぞれが平城京についてのレポートをまとめました。本番1ヶ月前には、外国語学科の3年生から通訳を募集し、1週間前には実際に平城宮跡でのリハーサルを行いました。

異文化交流の難しさを実感
来日した研修生に平城宮を案内

11月20日、本番。バングラディシュ、カンボジア、中国など9カ国から来日した研修生を相手に、平城宮案内人を務めました。言葉の壁は高く、「鳳凰」「曲水の宴」など、説明するのに一苦労しました。

研修生から飛んでくる「なぜ日本に中国の神様がいるのか?」といった質問や、「日本の伝統についてどう思いますか?」と聞かれ、各々が答え方に頭を悩ませました。真剣に日本について質問をしてくる研修生に対して、自分たちの歴史や遺産に対する認識が甘いことを知りました。せっかく歴史の町にいるのだから、もっと日本の歴史をきちんと学びたい、伝えることのできる英語力を身につけたい、という意欲が湧いてきました。

未来の日本文化の担い手に期待

それでも、明るく身振り手振りで一生懸命伝えたらなんとか伝わるし、何よりも「伝えよう、理解しよう」とする姿勢が必要だった、と生徒たちは語ってくれました。研修生からインドネシアのアルファベットを見せてもらったり、モンゴル語の発音や文法を教えてもらったりと、同じアジア地域でもこんなに色々違うのだ、という新鮮な驚きもありました。研修生との必死のコミュニケーションが、日本や日本人についての考え方を見つめなおすきっかけを与えてくれました。

こんな「気づき」が、未来の日本文化の担い手を育てていく一歩となりそうです。

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