グレワムクル
 

グレワムクルは、マラウィ、ザンビア、モザンビークの各国に住むチェワ族のあいだで行なわれている秘密のカルトであり儀式的な舞踊で、ニアウ(Nyau)という友愛結社(儀式を受けたチェワ族の男性による秘密結社のようなもの)が踊ります。伝統的なチェワ族の母系社会では、夫の役割は周辺的であるため、Nyauがさまざまな村の男性達にその埋合わせをすると同時に結束をもたらす手段を提供しています。Nyauのメンバーは、若者が大人の仲間入りをするための成人式と、若者の大人社会への参加を祝う成人式の最後に踊るグレワムクルを取りしきります。

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グレワムクルは、7月の収穫期のあとの季節に成人式で踊るほかにも、結婚式、葬儀、また族長の就任や死亡に際しても踊ります。その際、Nyauの踊り手たちは、衣装と、木と藁でできた仮面を身にまとい、野生動物や死者の魂、奴隷商人、さらにはオートバイ(honda)やヘリコプターといった現代的なモチーフまでを表現します。こうしたモチーフは、観客に倫理観や社会的価値を教えるために、それぞれ特定の不正行為の象徴であるキャラクター(多くの場合悪役)を演じます。これらのモチーフは、半分は観客を楽しませながら、そして半分は魂や死者の世界の代表として観客を怖がらせながら、驚くほどのエネルギーで踊りや芸術的な動きを披露します。仮面を彫刻するのは、専業職人の場合もあれば、臨時で活動する職人の場合もあります。

グレワムクルは、17世紀のチェワ大帝(the great Chewa Empire)の時代に存在していたという証拠があります。キリスト教宣教師による禁止への努力もむなしく、このチェワ族のコミュニティの習慣は、キリスト教の様相を帯びることで、イギリス占領下の時代を生き延びました。現在、母系のシステムは社会的意義を失ったものの、Nyauの社会とグレワムクルはしっかりと息づいています。また、チェワ族の男性は、キリスト教教会とNyauのメンバーを掛け持っていることも多いのです。