ムベンデ/ジェルサレマの踊り
 

ムベンデ/ジェルサレマの踊りは、ジンバブエ東部のムレワおよびウズンバ・マランバ・フンゲ地区に暮らすゼズル・ショーナ(Zezuru Shona)族の人々によって実践されている一般的な舞踊形式です。

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踊りの特徴は、女性と男性が一体になって踊る官能的でアクロバティックな動きにあります。踊り手は一人のドラマーが刻むポリリズムに乗って踊り、その後ろで男性が拍子木を叩き、女性が手を叩いたり、ヨーデルのような声を出したり、笛を吹いたりします。東アフリカのその他のドラム主体の舞踊形式とは異なり、ムベンデ/ジェルサレマは、複雑な足踏みや数多くのドラムに頼ることはなく、代わりに一人の熟練したドラマーが音楽を担当します。歌や歌詞はありません。太鼓や拍子木、笛、衣装といった豊かな関連道具が踊りを彩ります。

踊りの中で男性はしばしば、穴を掘るモグラを真似て、かがみながら両腕を素早く動かしたり右足で地面を力強く蹴ったりします。この踊りの独特の名前は、何世紀にも渡る変遷の表れと言えます。植民地支配以前、この懐妊促進の踊りはショーナ(Shona)族の言葉で「モグラ」を意味する「ムベンデ」と呼ばれていました。モグラは多産、性欲、家族の象徴と考えられていたからです。

厳格なるキリスト教宣教師たちがこの性的に露骨な踊りに強く反対したため、名前はジェルサレマと変更されました。この名前は、聖書に登場する都市「エルサレム」をショーナ(Shona)族の言葉に直したもので、本来の意味合いを宗教的なものに置き換えることを意図していました。今日では、どちらの名前も一般的に使われています。宣教師たちからの非難にも関わらず、この踊りの人気は衰えることなく、植民地支配に対抗するためのプライド、アイデンティティの源となりました。

観光客向けのエキゾチックで分かりやすい踊りとして、俗悪化が広まっているため、この踊りは本来の性格や意味を失う恐れがあります。また、政党のパーディーで使われることも増えていて、ここでも本来の意図から大きくかけ離れています。踊りに添えられる太鼓(ミトゥンバ)や拍子木、笛は、徐々に品質の悪い楽器に代えられつつあり、ムベンデの音楽の独自性が損なわれています。