9月24日から10月8日までテヘランで野間国際絵本原画コンクール入賞作品展が開催された。開会式と2日間のワークショップに招待を受け,講談社児童局長の土門康男氏,絵本画家の西村繁男氏と共に出席した。この原画展は,イランの若手イラストレーターの育成と絵本に対する一般市民の関心を高めるために,イラン青少年知的開発研究所が主催したもので,ACCUが隔年で開催している国際絵本原画コンクールの2000年の入賞作品からグランプリを含む14作品48枚の原画が展示された。イランはこれまでにグランプリ3名,次席3名のほか,25名が入賞している。
 開会式には,これまでの入賞者はじめ,今後の入賞をねらう若いイラストレーターが多数つめかけ,私たちも大変な歓迎を受けた。式は厳粛なコーランの朗読で始まり,ラムザンプール・イラン文化省副大臣が,「絵本原画は子どもの世界を知る有効なツールである。健全な社会を創るために私たちはこのツールに注目すべきである。」など印象深いスピーチを行った。
 イランは未だ著作権に関する国際的な諸条約に加盟していないが,この研究所を中心に,子どもの創造力を伸ばす良質の絵本の制作,読書推進には非常に力を入れている。土門氏は,「21世紀の主役は子どもたちであり,私たち出版人は必要かつ質の高い本を子どもたちに送り届ける義務がある」と強調した。ワークショップでは,西村氏が自作絵本「絵で読む広島の原爆」の講義と,8頁のダミー絵本作りの実習を行い好評だった。受講生は美術大生など約30名の若手イラストレーターで熱心に制作に取り組んでいた。この作品展を通じて多くの優れたイラストレーターが生まれることを期待する。12月開催の今年のコンクールにもイランからは60点を越える優れた作品の応募があった。

(『ユネスコ・アジア文化ニュース』335号より)