アルバニア民衆の同音多声音楽(アイソポリフォニー)
 

アルバニアの伝統的なポリフォニー(多声合唱)は、その歌唱様式により、アルバニア北部のゲグ族(Ghegs)による歌唱と、南部に住むトスク族(Tosks)とラベ族(Labs)による歌唱の、2つのグループに分けることができます。今回の選定候補申請は、アルバニア南部のトスク族とラベ族の歌唱によるアイソポリフォニー(同音多声合唱)について提出されました。「同音(iso)」という言葉は、ビザンチン教会音楽の「ison」に関連し、ポリフォニーの歌唱におけるドローン(持続低音)を指しています。ドローンの歌唱方法には2種類があり、トスク族では、常に持続する「e」の音節で歌われ、揺れるような呼吸法を用います。一方ラべ族では、ドローンはリズミカルなトーンで歌われることもあり、歌の歌詞に合わせて歌われます。これは、ポリフォニーが2声か、3声か、4声かによっても異なります。

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2声のアイソポリフォニーは、アルバニアのポリフォニーの中でも最もシンプルな形式で、アルバニア南部全域で親しまれています。アイソポリフォニーは、おもに男性が歌いますが、女性の歌い手も多くいます。結婚式や葬儀、収穫祭、宗教上の祝典、またジロカストラで開催される有名なアルバニアの民俗祭などの祭りの場といった様々な社会的行事で歌われます。

アルバニアのアイソポリフォニーの特徴は、歌が3つのパート(2つのソロパートと、ドローンによるコーラスのメロディおよびカウンターメロディ)から成っていることです。4つのパートからなる合唱も稀にありますが、それはラベ族にのみ見られます。この形式も、同様に2つのソロパートを含みますが、二重のドローン(一つはコーラス、もう一つはソロ)を伴います。ソロパートの構成は、ドローンの歌い方によって異なりますが、2つのドローンの種類の中にも様々な構成があり、特にこの音楽を演奏するすべてのグループにおいて一般的なペダルスタイルでは、その傾向が顕著です。

ここ数十年、文化観光が注目を集めはじめたことと、それに伴ってこの独自の伝統音楽を研究する団体の活動が活発化したことが、アルバニアのアイソポリフォニーの復興に貢献しています。